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オンライン日本語教師
Kanako
「平均的なアメリカ人の成人は、人生のうち44年間をスクリーンを見つめて過ごすことになるであろう」
先日、こんな調査結果の記事を読みました。確かに、仕事で長時間パソコンを使う人は多いし、暇つぶしにSNSを見るのは現代人の習慣の一つになっているので、この衝撃的な数字を見ても、「まあ、そんなものかな」とも思ってしまいます。
44年間をスクリーンを見つめて過ごすことが悪いことだとは言い切れませんが、こういった日常の無意識の行動や小さな習慣の積み重ねが、のちに大きな事実を作るわかりやすい例ではないでしょうか。
今回は、ジェームズ・クリアーさんの「ATOMIC HABITS 〜複利で伸びる1つの習慣」という本を参考に、習慣の作り方をご紹介します。
実はこちらの本、2018年の出版以来、世界各国で100万部以上を売り上げる大ベストセラーになっていて、日本語でも翻訳版が販売されています。本記事を読んでもっと知りたいと思った方は、ぜひ読んでみてください。
悪い習慣は簡単で、良い習慣は難しいのはなぜ?
一般的に悪いと言われている習慣といえば、日常的にジャンクフードを食べる習慣や、喫煙や過剰な飲酒習慣が代表的です。いっぽう、身につけたい習慣の定番は、定期的な運動や健康的な食生活、スキルアップのための学習の習慣などではないでしょうか。
そもそもこういった「習慣」は、何のために必要なのでしょうか。
ある研究者の推定によれば、1日の行動の40〜50%は習慣で行われているそうです。
そして習慣による自動的な選択が、あとに続く意識的な決定に影響を及ぼし、数分、数時間におよぶ行動をも決めてしまいます。
たとえば私の場合、キッチンを通るときについ冷蔵庫を開けるクセがあります。間食にちょうどいいチーズが入っていたら、ラッキー!あまり考えもせずに手を伸ばします。そして数秒、数分間のリラックス時間を楽しみます。その日の夕方、スーパーで買い物中に、家にあったチーズがもう切れていることを思い出します。そして、新しいパッケージに手を伸ばします。
このようにキッチンを通るたびに冷蔵庫を開けるという無意識の行動が、その後の行動や決定に影響を与え、私の間食習慣を作り上げていきます。
習慣というのは本来、人間の生活を易しくするために備わった自動化プログラミングです。
日々の生活で、いちいち選択と決断を迫られていたら、脳はすぐにパンクしてしまいます。
そこで、脳は無意識でもいろいろな行動ができるように、行動を簡素化、習慣化させる仕組みを持っています。
たいていの場合、悪い習慣につながるような行動のほうが楽でアクセスが簡単です。一方、良い習慣を作るのにはちょっとした努力と根気が必要です。
ジャンクフードやスナック、嗜好品などを売る企業というのは、消費者にとって商品がいかに魅力的で、手に入れやすいかといった仕組みづくり、つまりマーケティングを日夜行っています。
つまり、体に悪い食生活や生活習慣にハマりやすいのは、それらが悩みや問題を魅力的に、かつ簡単に解決してくれるからです。しかし、それは一時的な解決でしかなく、長い目でみると、人々の生活に悪影響をもたらします。
目標を作って、終わる人が多いワケ
季節はじめや1月になると新年の抱負や目標を立てる人が多くいますが、自己啓発本やコンテンツが多く売られている状況をみると、途中で挫折すること人が多いことがうかがえます。
私自身も数年ほど前に「痩せて理想的な体型になる!」、「オリンピックまでにTOEICで900点以上とって、英語が話せるようになる」という2つの目標を立てました。
現時点で、前者の目標は失敗していて、後者の目標はある程度、実現しました。さて、この違いは何だったのでしょうか。
(Atomic Habitsからの引用)
成功する人も、失敗する人も目標は同じ。
目標には、方向を定める効果があるが、その仕組みを考える時間がないと、問題が生じる。
減量の目標も英語習得の目標も、目標を立てたという事実は共通していました。つまり、目標を立てた時に、どちらも行動の方向性は決められていたということ。
違ったポイントは、英語習得には、具体的な数値目標、学習すべきこと、期限がありました。
目標を立てた時の点数は650点程度でしたが、目標点に到達するにはTOEICの過去問をたくさん解くことが重要で、英語を話せるようになるには、英語を実際に話す機会を作って練習する必要があると考えていました。また、具体的な行動を起こすために必要なツール(英語学習サービス)も知っていました。そして、「オリンピックまでに」という期日も設定していたことも、モチベーションをキープする良い役目となりました。
一方、失敗におわった減量は漠然としていて、目標を達成させるための具体的な仕組みを作ることができませんでした。
新しい習慣を作るときは、目標を立てることで満足せず、その仕組みをじっくり考えることがポイントとなります。
3日坊主が多いのは、目標を立てる時間ばかりで、その仕組みを考える時間と、実際の行動の時間が少ないことが原因です。
アイデンティティベースの習慣を作る
新しい習慣を作ろうとすると、多くの人は何を達成したいかという結果を意識して、つぎにそのプロセスを考えます。そして、そのプロセスを続けていけば、それがその人のアイデンティティとなっていきます。
結果:タバコをやめる
↓
プロセス:タバコを吸わないよう我慢する
↓
アイデンティティ:タバコをやめた人
このような手順で習慣を作ろうとすると、結果をベースにした習慣になりやすく、アイデンティティまで定着しづらくなります。
行動に変化を起こして新しい習慣を定着させるには、アイデンティティをベースに習慣をつくることがポイントです。
アイデンティティ:タバコを吸わない人
↓
プロセス:タバコを吸わない人の考え方と行動を真似る
↓
結果:タバコを吸わない
つまり、結果からはいるのではなく、どのような人になりたいかといったアイデンティティに意識を向け、そこから行動を変えていく。
たとえば、健康的な体を手に入れたいなら、ジャンクフードを食べない!という意識から始めるのではなく、健康的な人ならどんな行動・選択をするかという視点で考える。新しいスキルを身につけたいなら、すでにそのスキルがあるなら、どんな行動をとるだろう?と考える。
行動を変えたいときの4つの具体的ステップ
最後に行動を変える4ステップのポイントを説明していきます。
1、行動をはっきりさせる
行動を変えるとき、それが不明確であることがとても多いです。ここでの「はっきりさせる」とは、目標をより具体的にするだけでなく、その目標達成の仕組みを具体的にすることです。毎日8時に、リビングで、ありささんの20分のヨガをするなどと、いつ、どこで、何の行動をするのか、はっきりさせます。
2、魅力的にする
生物学的に見ても魅力的であることはとても大切です。恋愛も食事も生活も魅力的であるほど、その行動が実行される確率があがります。運動のための服を好きなもので揃えたり、料理が楽しくなるような食器・食材を用意することが、行動を変えるのを手助けしてくれるかもしれません。
3、易しくする
ファストフードなど体にとって悪いものに手を伸ばしがちなのは、それらが手軽に手に入り、便利だからです。悪い習慣につながるものは、目の届かないところに置いたり、あえて使うのが面倒になるよなトラップをしかけましょう。
一方で、良い習慣に繋がりそうなものは、すぐにアクセスできて、手入れや準備も面倒にならない仕組みをつくりましょう。
私の場合、SNSは手間をかけないと見れない設定にし、読みたい本は机の上、携帯には言語学習アプリをダウンロードするなどの仕組みを作っています。
4、満足できるものにする
歯磨きをすると口の中がすっきりしていい気分になるのと同じように、その行動を起こしたあとは、良い気分になる仕組みを考えることが大切です。ヨガをして寝るとぐっすり眠れる、野菜中心のランチを食べたあとは体が軽くなるなど、その行動が満足できるものでないと、行動を習慣化させることは難しくなります。
前回の記事で「意識はネガティブなことへのほうが向きやすい」理由をお話しましたが、この概念をもとに習慣に関してまとめると、
「悪い習慣の方が定着しやすいのは、その行動のほうが楽だから。良い習慣を作り、継続させるは、どんな人になりたいかアイデンティティ視点で考えて、具体的かつ小さい仕組みを積み上げていく」
以上のことがポイントとなります。
みなさんは、これからの生き方が問われるアフターコロナ、ウィズコロナ時代、どんな習慣を身につけますか?
オンライン日本語教師
会社員をしては心身のバランスを崩し、結婚しては離婚し、海外に飛び立っては泥棒と鉢合わせ・・・。ちょっとビビリな筆者の日々の失敗談やそこからの学びをシェアしています。ミニマリズムや健康的なライフスタイル、ウェルネス全般が大好きで、暇さえあれば情報収集と日々の暮らしに取り入れています♫
めちゃめちゃ納得しました。
結果を求めすぎていたっ気づきました。
アイデンティティから考えるなんて全く考えもしなかったです。つい最近、セルフリンパケアリストの資格を取りました。たしかに自分の中でいつまでに取りたい!どんな人になりたいかを考え計画していました。見事合格!
無意識に行動してたのかなぁ?でもダメダメ目標も山ほどあります(笑)
このコロナ渦で考え方やセルフケア、セルフラブについて色々考える様になったなりました。
これからも小さな目標を達成できる様にしていきます!
いつも的確なブログありがとうございます。
楽しく拝見しています!