「ゴミを出さないレストラン」の誕生物語

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「ゴミを出さないレストラン」nico.chan オーナー
Nanaka

みなさん、こんにちは。

愛知県あま市で「ゴミを出さないレストラン」nico.chan(ニコチャン)を運営しているNanakaです。

今日は、4月22日のアースデーにちなんで、私自身が環境のことに関心を持ち始めたきっかけや、お店を立ち上げるまでのストーリー、お店での取り組みについてお話ししたいと思います。

「環境問題に興味はあるけれど、何から始めたらいいかわからない…」そう感じている方もいるかもしれません。

ふだん環境問題について考える機会が少ない方も、大人も、子供も、誰でも簡単に地球にやさしい暮らしを始めることができます

読んでくださった方の心とカラダを豊かにするきっかけを届けることができたら嬉しいです。

アースデーってなあに?

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アースデー(Earth Day)。

アースデーとは「一人ひとりが地球にやさしい選択をすることの大切さを思い出す日」です。

最近では「海洋プラスチック問題」「地球温暖化」などの言葉もよく聞くようになりました。

5月でも半袖で過ごせる日があるほど気温が上昇していることや、ここ数年は毎年のように「観測史上最も暑い夏」という言葉を聞いて、私自身もかなり危機感を感じています

気候変動をこれ以上深刻化させないためには、しっかりと問題に目を向けて、自分ごととして捉え行動する人を増やすことが重要です。

そう言うと「すごいことに取り組まなくてはいけない!」とハードルが高く感じてしまうかもしれません。

でも安心してください。

アースデーは「行動を起こさなくてはいけない日」ではなく「自然とのつながり」に目を向けるだけでも十分なのです。

一人ひとりができることを見つけて、自分のペースで継続的に実践することがとても大切です。

ゴミ拾いから始まった、私のレストラン開業ストーリー

大きな変化は小さな「きっかけ」から始まる。

6年前、気候変動に全く興味がなかった私が関心を深めるきっかけとなったのは、オーストラリア滞在でした。

滞在中に「take 3 for the sea」(ビーチに行ったらゴミを3つ拾って帰る)という活動と出会ったのです。

他にも量り売りショップエコショップにも訪れ、気候変動への意識が少しずつ高まっていきました。

オーストラリアでは州によって使い捨てのプラスチックストローやカトラリーの提供が禁止されており、スーパーでは野菜が裸のまま売られています。

日本と違いに驚いたのと同時に「日本でも何かできることはないか?」と考えるきっかけをもらいました。

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スウェーデン発祥の「プロギング」との出会い

帰国してからまず始めたことは「ゴミ拾い」でした。

日課だったランニング中にゴミを1つ拾って帰るクリーン活動を始めて、それがスウェーデン発祥のスポーツ「プロギング」であることを知りました。

「プロギングを日本全国に広めたい!」そう思い立ちSNS発信を本格的に始めました。

始めは1人、2人だった参加者が次第に増えていき、プロギングを始めて約1年後には100人を超えるイベントの開催をするまでに広がりました。

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ついに開業!「ゴミを出さないレストラン」

プロギングを通じてたくさんの人と出会い、年齢、性別、職業はバラバラでも似た価値観で深く繋がっていきました。

尊敬し合い、夢や未来の話をして盛り上がり、やりたいことを応援し合える、プロギングを通して出会った人たちと過ごす時間が私の人生を豊かにしてくれました。

「似た価値観を持つ人が集まる拠点を作りたい!」そんな想いから誕生したのが「ゴミを出さないレストラン」nico.chan(ニコチャン)です。

「きっかけを作る場所を創る」をコンセプトに、地球を大切に思いやる、食を通してカラダに優しい暮らしをする、できることに挑戦する、そんなきっかけを届けています。

小さな「きっかけ」で、誰かの人生が少しでも豊かになればとても嬉しいです。

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「ゴミを出さないレストラン」の7つのルール

ニコチャンでは「ゴミを出さない7つのルール」を掲げ、日本一気候変動に取り組む飲食店を目指して、極限までゴミを減らせるように日々挑戦しています!

ルール① 食材はゴミを出さずに仕入れます

容器を持参し、お米はお米屋さんへ、味噌は味噌屋さんへ、どちらも地元のお店から購入しています。

お野菜は農家さんから直接仕入れ、裸のまま、もしくは新聞紙につつんでもらい、新聞紙もできるだけ繰り返し活用します。

パスタや調味料は量り売り卸業もされている斗々屋から仕入れ、コーヒー豆やお茶葉の仕入れは通い箱を活用させてもらっています。

お店の仕入れは生産者の皆さんや、想いに共感してくださる方に助けてもらいながら成り立っています。

快く協力してくださる皆さんに、心から感謝しています。

ルール② あらゆる 「使い捨て」 はやめました

おしぼり、紙ナプキン、ストローなどの一度使って捨ててしまうものは使用していません。

手ぬぐいや、ステンレス製ガラス製のストローなどの代用品を活用し、お客様にもご理解とご協力をいただきながら、お客様と一緒にゴミの削減に取り組んでいます。

ルール③ 自然エネルギー100%の電力会社を使用しています

*日本では全体のCO2の40%以上が発電により排出されており、使用している電気の約80%を火力発電に頼っています。CO2排出量を減らすために、私たちは自然エネルギー100%の電力会社ハチドリ電力を利用しています。

電気代の1%を社会貢献活動に寄付できるのもハチドリ電力を選んだ理由の一つです。

*ハチドリ電力HP参照

ルール④ コンポストを活用して「 生ゴミ 」は堆肥化しています

コンポストを併設し、お店で出る生ゴミを堆肥化させています。

野菜の切れ端、コーヒーカスなどの生ゴミだけでなく、*ヘチマスポンジ、*セルロースナプキンなどの使い古した日用品も入れます。(*生分解性)コンポストだけでなく、生ゴミ処理機を併用しています。

分解を早め、かつ臭いも軽減してくれるのでとても気に入っています。

良いお値段はしますが買って大正解でした。

開業からまもなく3年経ちますが堆肥は溢れることなく分解を続けてくれています。

お店を始める前はLFCコンポストを活用していました。

お値段もリーズナブルで都会のマンションや自宅でも簡単に始められるのでおすすめです。

生ゴミ処理機のサブスクサービスもあるそうなので、最近はさらにコンポストを日々の生活に取り入れやすくなっていると感じます。

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ルール⑤ 環境負荷の少ない「ヴィーガン料理」を提供します

家畜の餌となる穀物を大量に生産するために広大な敷地で森林伐採が行われるだけでなく、多くの水も使われています。

農林水産省発表の数字によれば、牛肉1キロを生産するのには11キロの穀物、豚肉1キロを生産するには7キロの穀物が必要とのこと。

「食べるのをやめよう!」というより「お肉を食べない日を作る」そんな小さな選択でも地球温暖化対策に繋がるという考えをニコチャンでは大切にしています。

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ルール⑥ 食品ロス 0(ゼロ)を目指します

*食品ロスを国民一人当たりに換算すると、おにぎり1個分(約103g)の食べものが毎日捨てられています

ニコチャンで提供している3種類のメニューは食事内容ではなく品数(量)が異なります。

お客様それぞれが自分に丁度いい量を選びやすいように、食べ残しが出ないように工夫しました。

やむを得ず出てしまった食べ残しはコンポストへ入れて対応しています。

消費者庁HP参照

ルール⑦ 食材、調味料の90%以上は 「農薬・化学肥料不使用」です

農薬や化学肥料の使用量を減らすことで土壌汚染を軽減させることができます。

お店で使う食材や調味料は環境負荷の少ないものを選びます。

地球にやさしいものは、必然的にカラダにもやさしいのです。

私は3歳の娘を育てる母でもあるので、我が子に与えても安心安全なものをお客様に提供することを心がけています。

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どうすればいい?まずは”つながる”から始めよう

日々深刻化する気候変動に焦りを感じます。

でも、完璧を追い求めるのではなく、この地球上に住む一人ひとりが自分のペースで心地よく続けられる方法を見つけてほしいと思っています。

何から始めたらいいか迷った時は、まずは自然と繋がるところから始めてみてほしいです。

私はもともと気候変動に全くの無関心でした。最初はゴミを1つ拾うという本当に小さな一歩から始めて、少しずつできることを増やしていきました。

全ての選択と行動の原点には自然との繋がりがありました。

オーストラリア滞在中「落ちてくるのではないか?」と心配になるくらい美しい夜空の星を見て、海で遊ぶイルカや、気持ちよさそうにお昼寝をするコアラの姿を見て、

この美しい光景を、この先もずっと見たい。」

という純粋な気持ちが生まれました。

ついつい「すべきこと」「やらなくてはいけないこと」にフォーカスしまいがちですが、自然と繋がる時間を作り、ゆっくりと呼吸することを大切にしています。

koala

先月、3週間オーストラリアに行ってきました。

不運にも滞在中に50年に一度と言われるサイクロンが街を直撃しました。

普段なら北部をルートに進むと言われるサイクロンが南下し、街を直撃しました。

木が薙ぎ倒され各地で停電がおき、宿泊していたホテルも3日間停電になりました。

温かいご飯を食べること、温かいシャワーを浴びること、普段の生活がどれだけ恵まれていて幸せなのか気づくことができた時間でもありました。

サイクロンが通り過ぎて、1週間ぶりに朝日を見ることができた瞬間は、本当に嬉しかったです。太陽からエネルギーをもらい、体の内側からじわじわと熱くなるのを感じました。

「自然はいとも簡単に日常の幸せを奪うこともできるし、幸せを与えることもできる。」

人間は常に自然とつながっているということをサイクロンが教えてくれました。

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「ゴミを出さないレストラン」の次なる挑戦の場は…

今年6月に「ゴミを出さないレストラン」nico.chanは初の野外出店に挑戦します

実はこれまで野外出店はずっと避けていました。

理由はもちろん、ゴミを出さずに出店することは無理に等しいからです。

そんな私が主催者さんの熱い想いと、マルシェのコンセプトに惹かれてついに重い腰を上げました。(出店は最初で最後かもしれません。笑)

貴重な機会をいただけたので、「せっかくなら環境問題に対してできることは全てやりたい!使い捨て容器を使わずに挑戦してみよう!」と気合いを入れているものの、食品衛生管理上さまざまな問題や壁にぶつかりながら、出店準備に没頭する日々を過ごしています。

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最後に

自然とつながることで、私たちの暮らしや価値観は少しずつ変わっていきます。

今日読んでくださったこの瞬間が、誰かにとっての「はじめの一歩」になれば、こんなに嬉しいことはありません。

完璧じゃなくていい。

自分らしく、無理なく、心地よく。

そんな「きっかけ」を、これからも活動を通じて届けていきます。

地球にも、自分にもやさしい毎日を。

Happy Earth Day!

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