この記事を書いた人
ホリスティック栄養士
Eriko
北米で最近話題のトピックスや最新ニュースから、Wellness To Goをご覧の皆さんが関心ありそうなことや普段の暮らしに役立てていただけそうな話題を、カナダ在住ホリスティック栄養士の私Erikoがピックアップしてご紹介したいと思います。
今日はこんな話題からお届けします。
食事や健康に関する話題、あちこちで耳にしますよね。
昔からよく言われていることもあれば、最新の研究で解明されたばかりのこと、など。
そして「●●がいいらしい」と聞くと、つい試してみたくことありますよね。
でも必ずしも全てがあなたにピッタリ当てはまるのかといえば、そうとは言えないかもしれません。
”発酵食品が腸にいい”とよく言われるけど、私には合わない気がする…。
りんごやたまねぎなどの食物繊維が豊富で健康に良いはずなのに、食べるとお腹が張ったりガスが出る。
それ、気のせいではないかもしれません。
健康に良いとされる発酵食品や食物繊維を豊富に含む食べ物が、過敏性腸症候群(IBS)やSIBO(シーボ、小腸内細菌異常増殖) などを持つ腸のバランスが崩れている人にとっては、お腹のハリ・ガス・下痢・便秘などの不調の原因となることがあります。
これまで、過敏性腸症候群(IBS)の人には低FODMAP(フォドマップ)ダイエットが推奨されてきたした。
しかし、低FODMAP(フォドマップ)ダイエットは、多くの栄養価の高い食材も制限されてしまうため、なかなか取り組むのが難しい食事法です。
また、低FODMAPダイエットでは食べれる食材が限られているため、長期間続けることで栄養バランスが崩れてしまう可能性もあります。
そこで、低FODMAPダイエットよりも実践しやすく、過敏性腸症候群などの症状に効果的な新しい食事法としてSSRD(Starch and Sucrose Reduced Diet:低デンプン・低ショ糖食)が注目されています。
最近の研究では、SSRD(低デンプン・低ショ糖食) も低FODMAPダイエットと同じくらい過敏性腸症候群などの症状に効果があることがわかってきました。
今回は、最新の研究をもとに低FODMAPダイエットとSSRDの違い、そしてどんな人にSSRDが向いているのか、SSRDの食事の例を解説します。

過敏性腸症候群(IBS) とは?
過敏性腸症候群は、腹痛やお腹の不快感に加え、下痢や便秘などの便通異常が続く状態です。
命に関わる病気ではありませんが、「トイレのない場所に長時間いられない」など、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
はっきりとした原因は解明されていませんが、消化管運動の異常や生活習慣の乱れ、ストレスが関係していると考えられています。
低FODMAPダイエットとは?
FODMAPとは、小腸で吸収されにくい発酵性の糖類(オリゴ糖・二糖類・単糖類・ポリオール)のことを示します。
これらの発酵性の糖類は腸内でガスを作ったり、水分を集めやすく、過敏性腸症候群やSIBOの症状を悪化させることがあります。
FODMAPが多い食品には、こんなものがあります。
▶ FODMAPが多い食品の例
- オリゴ糖:小麦、大豆、玉ねぎ、にんにく
- 二糖類:乳製品(牛乳・ヨーグルト)
- 単糖類:はちみつ、りんご、スイカ
- ポリオール:キシリトール、カリフラワー、きのこ
低FODMAPダイエットでは、これらを制限しながら腸の負担を減らす食事法です。
食べ物を摂取を制限する食事法は長期間行うものではありませんが、特に低FODMAPダイエットでは多くの栄養価の高い食材の摂取が制限されるので、専門家の指示のもとで期間を決めて行う必要があります。

SSRD(低デンプン・低ショ糖食)とは?
低FODMAPダイエットに変わって、最近注目されている食事法がSSRDです。
SSRDは、清涼飲料・ケーキ・チョコレート・クッキーなどの砂糖を多く含む食品や高度に加工された食品を控えるという、よりシンプルな食事法です。
低FODMAPダイエットと違い、SSRDには発酵食品や食物繊維の摂取制限が無いのが特徴です。
SSRD(低デンプン・低ショ糖食)で避ける食品
- 砂糖(白砂糖、加工食品、ジュース)
- 精製された炭水化物(白米、パン、パスタ)
- でんぷん質の多い野菜(じゃがいも、とうもろこし)
SSRDでは、低FODMAPダイエットでは避けるべきであるとされる発酵食品や野菜も食べることができるので、「食事の自由度が高い」と感じる人が多いです。
【最新の研究結果】SSRD(低デンプン・低ショ糖食)と低FODMAPダイエット
155人の過敏性腸症候群患者が参加した研究で、SSRDと低FODMAPダイエットの効果を4週間比較した結果、IBSの症状改善率はSSRDも低FODMAPダイエットも同じでした。
どちらの食事法も、過敏性腸症候群の症状改善率が約79%ほどで、同じくらいの効果があることがわかりました。
それどころか、SSRDの方が低FODMAPダイエットよりも体重やBMI減少、砂糖への欲求低下に効果的でした。
この研究で、低FODMAPダイエットだけでなく、SSRDでも十分に過敏性腸症候群を改善することができるということが証明されました。
まだ小規模でしか研究がされていませんが、発酵食品や食物繊維が豊富な食材が体に合わないと感じている人は、低FODMAPダイエットではなくSSRDから試してみると良いかもしれません。

どんな人にSSRDが向いている?
過敏性腸症候群やSIBOの症状に悩まされている人
低FODMAPダイエットは、厳格に実践すると食べられる食品が限られてしまい「栄養バランスを崩しやすい」「食事の楽しみが減る」と感じる人も多いです。
特に、発酵食品(キムチ、納豆、ヨーグルトなど)や食物繊維が豊富な野菜(玉ねぎ、にんにく、ブロッコリーなど)は低FODMAPダイエットで制限されていますが、SSRDなら適度に取り入れながら腸内環境をサポートできるのが魅力です。
エネルギーの安定や減量も目指したい人
精製された炭水化物(白米、パン、パスタ)や砂糖を多く含む食事は、血糖値の乱高下を引き起こしやすく、「食後に急激に眠くなる」「すぐにお腹が空く」「エネルギーが持続しない」といった問題が生じます。
SSRDでは、糖質を控えつつ良質なたんぱく質や脂質をしっかり摂ることで、血糖値を安定させ、持続的なエネルギーを確保します。
その結果、疲れにくくなり、体重管理もしやすくなります。
甘いものへの依存を減らしたい人
砂糖を摂ると脳内でドーパミンが放出され、一時的な幸福感を得られます。
しかし、その後に血糖値が急降下し、さらに甘いものが欲しくなるという負のループに陥りがちです。
SSRDでは、砂糖の摂取を控えることで「甘いものを食べたい!」という欲求そのものを減らす効果が期待できます。
さらに、良質な脂質(しゃけ、いわし、さば、アボカド、アーモンド、胡桃、胡麻、たまごなど)を適度に摂ることで満足感を得られやすくなり、自然と砂糖への依存が減っていきます。

SSRDの食事例と献立のアイデア
SSRDでは、でんぷん(パン、パスタ、うどん、豆類、じゃがいもなど)とショ糖(砂糖を含むお菓子や飲み物など)を控え、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
食物繊維や良質なたんぱく質・脂質をしっかり摂ることで、エネルギー不足を防ぎながら腸への負担を軽減できます。
SSRD向けの1日の食事例
- 朝食
オムレツ(ほうれん草・きのこ・チーズ入り)+アボカド+ハーブティー - 昼食
鶏のグリル+ズッキーニとニンジンのソテー+エクストラバージンオリーブオイルとレモンのドレッシング - 間食
無糖ヨーグルト+フルーツ(キウイ・ブルーベリー・バナナなど)+シナモン+ナッツ - 夕食
焼き魚(シャケ・サバ・イワシなど)+蒸し野菜(ブロッコリー・カリフラワー)
まとめ
このように、シンプルながらも栄養バランスを整えた食事を心がけることで、腸の負担を減らしつつエネルギーを維持できます。
SSRDは低FODMAPダイエットと同等の過敏性腸症候群を改善効果があり、体重管理や砂糖への欲求低下にも役立つ食事法です。
あなたの腸に合う食事を見つけて、快適な毎日を過ごしましょう。
参照 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39275354/
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カナダで大学卒業後、健康志向の高い都市バンクーバーに移住したことで栄養や体の仕組みに興味を持ち、栄養学とピラティスを学びました。その後、栄養学校で身につけた知識を使い体質改善に成功し、幼少期から付き合ってきた数々の不調を改善することに成功しました。現在は、ホリスティック栄養士として、企業向けに栄養関係のコンテンツ作成、ナチュラル食品•製品の開発やマーケティングのアドバイスなどをしています。地球にも人にも優しいナチュラル製品が大好きで、美容家の間で噂のエイジングケアオイル、抗酸化作用がたっぷりの「カカイオイル」を販売しています。
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