この記事を書いた人
ホリスティック栄養士
Eriko
2月10日は、世界豆の日(World Pulses Day)!
世界豆の日は、豆類の高い栄養価や環境保全への貢献の可能性を広めることを目的に国連によって作られました。
豆類は日本人女性に不足しがちなたんぱく質・食物繊維・マグネシウムなどをとるのにうってつけの食材であることから、栄養士の私も良くすすめている食材です。
いろんな種類のお豆がありますが、今回は日本人に馴染みの深い大豆についてお話しします。
健康と地球にやさしい豆類
豆類は、現代人が不足しがちなたんぱく質や食物繊維、健康にも美容にも欠かせないビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどの栄養素をバランスよく含む、栄養価の高い食材として知られています。
また、他の食材と比べて栽培時に必要な水の量が少ないだけでなく、二酸化炭素の排出量が少ないこと、気候変動への適応能力が高いこと、土壌の健康を育むことから「環境にやさしい食材」として近年改めて注目を浴びています。
WWF(世界自然保護基金)は2018年のレポートによると、業界別の温室効果ガス排出量では農業が上位を占め、そのうち50%以上が家畜から発生するメタンガスや、ふん尿由来のメタンと亜酸化窒素であるとされています。
特に畜産業は、大量の森林伐採に加え、大量の温室効果ガスを排出しており、人間、動物、そして環境に多大な影響を及ぼしています。
それに比べて、植物性食品の生産は、肉の生産と比較して温室効果ガスの排出量が少ないです。
特にマメ類は、土壌に窒素を供給し、水の使用量を削減しながら土壌の状態を改善する役割を果たしてくれるため、環境に多くの恩恵をもたらします。
また、多くのマメ類は干ばつに強いため、乾燥地域でも理想的な作物とされています。
豆類は世界中で季節に関係なく手に入れやすく、値段も比較的安い食品であることから、飢餓や栄養失調の解消にも利用できるのではないかと考えられています。

植物では珍しい?!良質なたんぱく質源「大豆」
大豆は「畑の肉」と呼ばれるように、植物性たんぱく質を豊富に含んでいます。
たんぱく質はいくつものアミノ酸が複数つながってできています。
アミノ酸には体内で合成できるものと合成できないものがあり、体内で合成できない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びます。
必須アミノ酸が1つでも不足すると、体内でたんぱく質を作ることができません。
動物性たんぱく質は体が必要な9種類全ての必須アミノ酸をバランス良く含んでいるものが多いのですが、多くの食物性たんぱく質は必須アミノ酸をバランス良く含んでいません。
そのため、植物性たんぱく質の吸収率を高めるには、食材を組み合わせて必須アミノ酸をバランスよく摂る工夫が必要です。
例えば、豆類と米類を一緒に摂ることで、それぞれに不足している必須アミノ酸を補い合うことができます。
一方、大豆は食物性のたんぱく質源でありながら必須アミノ酸をバランス良く含んでいる「質の良いたんぱく質」であることでも知られています。
これも、大豆製品を上手く日々の食事に取り入れていただきたい理由の一つです。

大豆のその他の栄養
大豆には女性の健康や美容に欠かせない大豆イソフラボン、マグネシウム、鉄分、ビタミンEなどの栄養素も含まれており、女性の健康と美容をサポートするすぐれた食品として知られています。
大豆に含まれる栄養素の中でも最も注目されるのは、ホルモンバランスの乱れによる肌荒れ・生理不順・更年期障害・PMSなどの症状の緩和に役立つ栄養素「大豆イソフラボン」ではないでしょうか。
大豆イソフラボンの効能とは?
大豆イソフラボンは、女性ホルモン「エストロゲン」と化学構造が似ており、体内でエストロゲンに似た働きをすることから「植物性エストロゲン」とも呼ばれます。
大豆イソフラボンは体内で作られるエストロゲンよりも力が弱いので、体内でエストロゲンが過剰になっている時にはエストロゲンの代わりにエストロゲンのレセプターにくっつき、エストロゲンの働きを弱めてくれます。
逆に、エストロゲンが足りていない時は、エストロゲンの代わりにエストロゲンの働きをしてくれます。
大豆イソフラボンはこのようにエストロゲンのバランスを調節する助けをし、ホルモンバランスの乱れからくる不調(肌荒れ・気分のムラやイライラ・ニキビ・生理不順・更年期障害・PMSなど)を和らげてくれます。

大豆イソフラボンの適切な摂取量は?
日本には、納豆、豆腐、黒豆、炒り大豆、おから、厚揚げ、きなこ、味噌、醤油、豆乳などさまざまな大豆製品があり、栄養価の高いことから健康志向の高い人たちにも人気です。
しかし、日本食は特に大豆製品を豊富に含むので、食べ過ぎ内容に意識しないと大豆イソフラボンのとりすぎになってしまう可能性もあります。
体内で作られるエストロゲンよりも力が弱いと言っても、大豆イソフラボンのとりすぎはホルモンバランスに悪影響を及ぼします。
大豆イソフラボンは、1日あたり70~75ミリグラムとると良いとされています。
【70~75ミリグラムの大豆イソフラボンの例】
- 納豆1パック + 豆腐1/2丁
- きな粉大さじ2 + 味噌汁1杯 + 厚揚げ1/2枚
- 豆乳1杯 + 納豆1パック
目安として、参考にしてみてくださいね!
健康食品の摂取で大豆イソフラボンの摂りすぎに?
大豆イソフラボンは、骨粗しょう症や乳がん、前立腺がんの予防にも役立つ可能性が期待されていますが、一方で乳がんの発症や再発リスクを高める可能性についても議論が続いており、現在も多くの研究が進められています。
特に注意したいのは、大豆イソフラボンを濃縮・強化した食品やサプリメントです。
豆腐や納豆といった伝統的な大豆食品とは異なり、このような健康食品やサプリメントには大豆イソフラボンが大量に含まれていることが多く、歴史が浅いため、摂取量や摂り方には慎重になるべきです。
健康を考える上で大切なのは、特定の成分だけに頼るのではなく、栄養バランスのとれた食事を意識することです。
健康食品やサプリメントでイソフラボンを摂るよりも、豆腐・納豆・味噌といった伝統的な大豆食品を食卓にとり入れる方がバランスの良い食生活に近づけます。

大豆製品を選ぶポイント
みなさんは、食材を買う時に成分表示を読んでいますか?
日本に流通する大豆の約80%以上は遺伝子組換え大豆と言われています。
遺伝子組み換え大豆には、農薬に強く改良されてあるため、大量の農薬を使って育てられているものもあります。
遺伝子組み換え大豆は、大豆で作られるプロテインパウダー(ソイプロテイン)、代替肉である大豆ミート、安いコロッケやハンバーグなどの材料など、加工食品に利用されることが多いです。
遺伝子組み換え大豆を避けるには、
遺伝子組み換えでないと表示されているもの、できれば国産の大豆を使っている製品を選ぶようにすると良いです。
また、できる限り加工食品は避け、加工食品を買う場合は成分表示を確認し、遺伝子組み換え大豆を使っていないものを選びましょう。
まとめ
大豆は、女性に嬉しい栄養素を豊富に含む食材です。
特に、大豆に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンのバランスを整え、ホルモンバランスの乱れによる不調の改善に役立ちます。
ただし、過剰摂取はリスクを伴うため、自分に合う適切な摂取量を知り、質の良い大豆製品を選ぶようにしましょう。
日々の食事にバランスよく大豆製品をとり入れ、体の内側から健康と美しさを手に入れましょう。
カナダで大学卒業後、健康志向の高い都市バンクーバーに移住したことで栄養や体の仕組みに興味を持ち、栄養学とピラティスを学びました。その後、栄養学校で身につけた知識を使い体質改善に成功し、幼少期から付き合ってきた数々の不調を改善することに成功しました。現在は、ホリスティック栄養士として、企業向けに栄養関係のコンテンツ作成、ナチュラル食品•製品の開発やマーケティングのアドバイスなどをしています。地球にも人にも優しいナチュラル製品が大好きで、美容家の間で噂のエイジングケアオイル、抗酸化作用がたっぷりの「カカイオイル」を販売しています。
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