スマホが手放せない!ドーパミン中毒が原因かも?

この記事を書いた人
オンライン日本語教師
Kanako

スマートフォンやパソコン、タブレット、お持ちでない方はいらっしゃいますか?

このブログを読んでくださっている時点で、上に書いたいずれかの電子機器は皆さんお持ちだと思います。

私たちの生活に、すっかり欠かせない物となりましたね。電車に乗れば、スマホを触っていない人の数の方が少なかったり。

先日うっかり携帯を家に忘れて外出てしまい、「大切な人たちとの連絡手段が無い!」「息抜きがてら見ていたニュース記事やSNSが見れなくて、隙間時間に何をしていいか分からない」といった、ちょっとしたストレスのある1日を過ごしました。

人や自然と接する時間よりも、パソコンやスマホに向き合う時間の方がすっかり長くなっています。

「電子機器のブルーライトが目を傷つける」「睡眠の質を妨げる」「SNSを見て、劣等感を感じる」など、なんとなく体や心に悪そうだと感じている人も多くいると思いますが、電子機器が私たちの身体へ与える影響について、しっかり学ぶ機会って意外と多くはありません。

そこで今回は、アンデシュ・ハンセンさんの著書「スマホ脳」からの学びを皆さんにシェアさせていただきます。

脳は狩猟採集民の時代からそれほど進化していない?

皆さんがスマホやパソコンを手にしたのは、何年前のことでしょうか?

私自身、携帯デビューは中学生の時で、スマホとパソコンが手放せない生活になったのは、仕事を始めた7〜8年前からです。

年齢の差による多少の差はあれど、スマホやパソコンが、ここまで私たちの生活の中心を占めるようになったのは、ほんの数年〜数十年間のできごとです。

ITの変化のスピードが目まぐるしすぎて、ネットやメールがなかった時代のコミュニケーションのあり方は、逆に未知の世界です。

急速な情報技術の発展の一方で、私たち人間はどこまで進化したのでしょうか?

昭和に生まれた人と令和に生まれた人の間で体や脳の構造に違いが見られないのと同じように、人類の20万年もの歴史から見ると、私たちの体や脳は、狩猟採集をしていた時代と現代では大差はないそうです。

このように、生活環境の変化のスピードに比べ、私たち自身の進化はまったく追いついていません。そのため、便利さ、快適さの獲得の代償として、孤独や不安、肥満や基礎体力、免疫力の低下など、色々な新しい不調に苦しむ人が急増しています。

ストレスは危機回避機能だった?でもストレス状態が長期化すると?

狩猟採集時代に生きる人にとっての「ストレス」は、猛獣に出くわしたり、その日の食料が見つからなかったり、生死を分ける決断をする時に起こる「緊張」という、一時的なものでした。逃げるか、闘うか、究極の選択。

しかし現代人のいうストレスは、人間関係の悩みであったり、リストラや病気、災害などまだ起きるかも分からないことへの不安、お金の心配など、不確定で、長い時間をかけても簡単には解決しない問題ばかりです。

脳には進化の過程で備わった「即座に解決すべき問題以外は後回しにする」というシステムが備わっています。

現代社会では生死に関わる判断を迫られる機会はほとんどなく、すぐに解決できないようなストレスがどんどん蓄積されていきます。睡眠や運動、食事はさらに後回しにされ、その結果、自分でも気づかないうちに蓄積されたストレスと悪い生活習慣の影響が、身体への痛みや精神的な病気となって現れます。

スマホはドーパミン量を増やす最新のドラッグ?

脳内の伝達物質である「ドーパミン」は、報酬物質としてよく知られています。それだけでなく私たちが何に集中するかを選択させる原動力の役割もはたしています。

実は、私たちが日々使っているスマホも、ドーパミン量を増やします。メッセージ通知があると、集中が途切れスマホをチラ見し、確認したい衝動にかられるのも、実はこの報酬システムが働いているためです。

また人類の進化の話に話を戻すと、「周囲の環境を理解するほど、生き延びられる可能性が高まる」という鉄則があります。極寒の地に移り住んだのに、南国の服装で過ごしていたら、時期早々に体を壊しますね。

つまり人間には「自然に新しい情報を探そうとする本能」が備わっています。新しいことを学ぶと脳はドーパミンを放出し、さらにドーパミンという報酬物質を求め、人はまた新しいことを知りたいという欲求が生まれます。

スマホの通知が届くたびにドーパミンが放出され、スマホに手が伸びる。そして、さらなるドーパミンを求めて、数分おきにスマホを開く癖が作られていく。

アルコールやドラックに依存するのと同じように、スマホが無いと落ち着かない、不安といった状態になっている人は、実はドーパミン中毒になっているのかもしれません。

報酬システムを激しく作動させるのは「期待」?

猿を使ったドーパミンについての面白い研究が行われました。ある音が聞こえると、ジュースが出てくる仕掛けになっている部屋に猿を入れ、ドーパミン量を計りました。するとサルのドーパミン量は、音が聞こえた時点で増加し、ジュースを飲んでいるときより音を聞いた時点の方がドーパミン量がずっと多かったという結果が出たそうです。

この研究から分かるのは、お金や食べ物、承認、新しい経験事態が報酬システムを作動させるのではなく、実はそれに対する「期待」が私たちを動かしているということです。

ついスマホでSNSやメール、ニュースをチェックしてしまうのは、実は新しい情報があったらいいな!という「期待」に動かされているのです。

なぜスマホやパソコンが手放せなくなったのか、その脳科学的な仕組みをちょっと知り、IT機器との付き合い方を見直すきっかけになれば、嬉しいです。

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