この記事を書いた人
ウィメンズピラティス協会認定講師/看護師
Chisato
はじめまして!ウィメンズピラティス協会認定講師、看護師のChisatoです。
今日10月10日は世界メンタルヘルスデーです。
世界精神保健連盟が1992年より、メンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的として「世界メンタルヘルスデー」と定めました。
発足した1992年から比べると”メンタルヘルス”“心の健康”に関する社会的関心は高まっています。
ただ未だ、他人事感がある部分もあるのではないでしょうか?
今回は、私が数年前に経験した「親の認知症と介護」の実体験から、認知症本人とその周りの方のメンタルヘルスとしてお伝えしたいと思います。
母が認知症になった!私の介護体験
私は看護師としての経験があるにもかかわらず母親が認知症を発症したとき、その初期のサインを見逃していました。
あの時もっと早く気づいていれば、もっと適切なサポートができたのではないかという後悔がありました。親の介護は、愛する家族のために尽くす行為である一方で、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。
特に認知症のケアは、親が徐々に別の人に変わっていく過程を目の当たりにし介護者のメンタルヘルスに大きな影響を与えるのだと実感しました。
愛する家族だから故の抑えられない苛立ち、悲しみ。
命はあっても自分にとって大好きな母親だった人が居なくなってしまうような感覚。
是非最後まで読んで、同じような経験をされている方の力になったり、まだ実感のない方にも楽しい人生を送るキッカケになったら幸いです。
認知症は早期発見が鍵!!家族の異変見逃さないで
母親の認知症に気付いた時、私は病院勤務をしていて夜勤もあり、月に1、2回母親に会いに行き一緒に買い物や食事をするという数時間を過ごす程度でした。
その数時間の中では今までの母とは変わらず。
母の近くに住む姉から母親の行動に異変があるという情報が届くようになった時、言われてみれば、、、と思うような母の行動を目にしていたのに見逃していました。
今思えば私自身が親の老いを信じたくなかったのだと思います。
「母に限って。」と気付かないふりをして向き合うのを避けていました。
でもそれが結果的には
「なんでもっと早く気付けなかったんだ」
「早く気付いていれば治療も出来たかもしれないのに」
「看護師なのに何故…」
と自分を責めることとなりました。
まずは認知症を理解しよう
「認知症」とは、様々な脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。
2024年5月厚生労働省の研究班が2040年には認知症が約584万人にのぼると発表。
認知症は65歳以上の高齢者のおよそ15%、6.7人に1人の割合。2022年の約443万人から大幅に増えると言われており、他人事ではなくなってきたのです。
予防できる!5つの初期兆候って何?
1)もの忘れがひどくなった
「今度はいつ休みなの?」など、親が同じことを何度も質問してきたり、話したりすることがあります。「こないだも言ったのにな。」と思うこともしばしば。また、つい最近買ったのを忘れて買い物のたびに同じもの(食材 etc)を買ってくるので部屋が片付いていない等もの忘れ症状は沢山ありました。
2)場所や時間がわからなくなる
時間でいうと「自分の年齢、今日の日付を尋ねても答えられない」はよくある症状です。また、自宅付近なのに帰り方が分からなくなり「迷子」になってたり、バスに乗って行きたい場所があったのに「どこに行きたかったのか」も分からなくなることもありました。
3)理解力や判断力が衰える
かんたんな計算ができなくなるので”小銭が増える”というのも特徴です。母親の財布を見て衝撃でしたが、本人は「面倒だからね。」と誤魔化すので、私もその言葉を鵜呑みにしていました。また、金銭感覚が鈍くなり沢山使い過ぎてしまったり、今思えばそういった判断力が衰えていたのだと思います。
4)すぐに怒るなど人格が変化する
今思えば「被害妄想」だったと思いますが、近所や周囲の人とのトラブルが増え、引っ越しをすることになったり、徐々に「もの取られ妄想」も出現。親戚や家族を疑うようになり、一番信頼関係が出来ていた私にも「(貴金属など)持って行ったでしょ。」と疑うようになってとても悲しかったことを思い出します。
5)作業に集中できなくなる
記憶力だけでなく、集中力や作業能力の低下がみられることがあり、部屋が片付けられなくなると言います。母親の場合も、押し入れの中がぐちゃぐちゃになっていました。家事などができなくなるケースも多く、実家に帰ったら「家の中が散らかっていた」といったときは初期症状のサインの可能性があります。
他には、こんな事も、、、
・得意料理だったものが作れなくなる
料理は得意だった母ですが、いつも作っていたぜんざいもめちゃくちゃ甘くて食べられないくらい。味が上手くできないのを小豆のせいにしていました。
・薬がたくさん余っている
健康のためにと毎月届けていたサプリメントも「飲んでるよ。」と言っていたので安心していたら押し入れに山積みのサプリを見て愕然としました。
・冷蔵庫の中には賞味期限切れのもので溢れかえる
父親の体調不良(嘔吐など)があった後に、冷蔵庫をみたら賞味期限から数カ月たった卵や乳製品などが溢れかえっていました。
冷凍食品も山盛りに詰め込まれていたり、管理出来てないなと思ったら要注意です。
認知症は日によって変化する事もあり、周りが気づきにくい場合もあります。
コミュニケーションの中で、時間や日付、約束を忘れてしまうなど”違和感”があれば、家族としては気付きたくない部分ではありますが早期発見が鍵なので「認知症かも?!」と疑うことも必要です。
介護者のメンタルヘルスが大切な理由(わけ)とは?
介護者が健康で心が安定していなければ、適切なケアを提供することが難しくなります。
それは私自身も体感しました。介護者の在り方(気持ち)が鏡の様に相手に伝わるのです。
自分が疲弊していると、大好きな看護の仕事をしていても患者さんにきつい口調で言ってしまったり、母親にも会いに言っても優しい言葉がかけてあげられず、結果的にそんな自分を責めるという悪循環でした。
その経験を通して介護者のメンタルヘルス(心の健康)の大切さを実感しました。
介護中のメンタルヘルスを保つために大切な4つのコト
自分を責めない
介護中に「もっとこうすべきだった」と感じることがあるかもしれません。「もっと会いに行ってたら。」「見て見ぬふりしなければ。」後悔はどれだけでも出てきます。ただそれをしても何も解決しないですし、自分も家族も苦しいだけでメンタルもやられます。できる限りのことをしている自分を認めることが大切です。
サポートを求める
介護は一人で抱え込むものではありません。家族、友人、そして地域の支援団体や専門家のサポートを積極的に活用することが介護者の心の負担を軽減します。私も苦しかった時に、母親には内緒で姉と支援センターに相談に行き、真っ暗闇から希望の光がさした感覚がありました。相談できる場所があることがメンタルヘルスの安定につながったと改めて思います。
休息とリフレッシュを忘れない
「家族がこんな時に、、、」「時間があるなら会いに行かなきゃ。」と休息を取る事に申し訳なさを感じていました。そんな状態だから自分も疲弊していく悪循環でした。介護生活終盤は「癒す立場の自分をまず癒す」が意識できたことで母親にも優しくなれました。
専門的なメンタルヘルスサポートを受ける
介護が長期化すると、心の疲れが蓄積します。カウンセリングなどサポートを受けることも、メンタルヘルスを守るための重要な手段です。私自身もこの時に人生初のカウンセリングに足を運び、心の安定が図れたことを覚えています。
Happy脳を養って介護する側、される側どちらもハッピーに!
キーとなる3つの脳内物質
「Happy脳」とは、ポジティブな感情や幸福感がアップする脳の状態を指します。
脳科学的に幸せを感じる脳は、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンという3つの脳内物質が鍵です。これらがバランスよく分泌されることで幸福感がアップします。
ドーパミン
達成感や報酬を得たときの喜びを感じさせて、モチベーションを向上させる。
【 ドーパミンの増やし方】 目標を立てて達成し、自分にご褒美を与える行為が効果的です。
セロトニン
幸せホルモンとも呼ばれる。気分を安定させ、リラックスを促すホルモンです。
【セロトニンの増やし方】
日光浴、リズム運動(よく噛むのもリズム運動の一つ)、呼吸を整える、食事(肉、大豆、乳製品、バナナなどトリプトファンやビタミンB6を含む食品を摂る)を心がける。
オキシトシン
愛情ホルモン とも呼ばれる。他者への愛情や信頼感を形成したり、心に安らぎをもたらします。これで孤独感が軽減され幸福感が増します。
【オキシトシンの増やし方】
スキンシップ等の身体的接触、親密な会話や深い繋がりを感じる事で分泌促進されます。
さいごに
Happy脳を育てることでメンタルヘルスを保つことができます。
特に介護の場では、介護者自身がHappy脳を持つことで、より良い介護を提供できるようになり、介護される側にもポジティブな影響を与えることが出来ます。
親への介護や看護師の経験から「癒す立場の人が疲れ果てている。そこをまず癒さないと良い看護(介護)はできない!」と体感しました。
まずは自分のメンタルヘルスを保つために出来る行動を是非始めてください。
「自分に優しく、人に優しく」こういった心あたたかい循環が拡がることを願っています。
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ウィメンズピラティス協会認定講師/看護師
看護師経験を通して、自分を含めて、人を癒す立場の人間が疲れ果てていると感じ、そんな人たちに何か出来ることはないかと考える中でピラティスと出会いました。
親の介護などがあり14年務めた病院を退職。 その後、看護師経験や自分の親への介護体験も通して健康寿命を延ばすことへの意識が強くなり、ウィメンズピラティスインストラクター、ウィメンズピラティス協会講師認定インストラクター養成講座講師として活動中。
また、「新しい」形での健康意識の拡大を意図して夫婦で移住した岐阜県中津川市にピラティススタジオ「ウェルノイエ」を立ち上げました。 「健康に」毎日楽しく過ごすことに貢献していきます!
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