最近、健康志向が高まり、食事に対する関心も増えてきました。
「オーガニック」と「無農薬」という言葉をそこら中で聞くようになりましたが、その違いについて正確に理解している人は少ないかもしれません。
この記事では、カナダでホリスティック栄養士をしている私Erikoから、オーガニック食品の健康への利点を紹介し、オーガニックと無農薬の違いについて詳しく説明します。
また「オーガニックを”選ぶべき”食品と”そうでなくても良い”食品」についてや「農薬を落とすための具体的な方法」についても紹介しているので、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
「オーガニック」と「無農薬」の違い
スーパーに行くと「オーガニック大豆100%使用」とか「農家直送の有機農産物コーナー」とか「無添加の安心オヤツ」とか「国内産・有機小麦を使ったパン」など…
とても響きの似た言葉がパッケージやサインに書かれています。
「オーガニック」と「無農薬」。
この2つの言葉はしばしば混同されがちですが、実際には異なる概念です。
えーー!?そうだったの、知らなかった!と思ったあなた。その違いについて、もっと具体的にお話するのでぜひ覚えてください!
オーガニックとは
オーガニックは、日本語で有機とも呼ばれます。
日本には、農林水産大臣が定める国家規格である「有機JAS制度」というものがあります。
みなさんも一度は、食品のパッケージについている緑色の有機JASマークを目にしたことがあるのではないでしょうか?
日本のオーガニック食品は、この有機JAS制度にもとづく有機JASに認証されて初めて、「オーガニック」「有機」と表示することができます。
「有機JASマーク」がない食品に、「有機」「オーガニック」などの表示や、これと紛らわしい表示をつけることは法律で禁止されています。
オーガニック≠無農薬の理由(ワケ)
有機JASの認証を得るには、オーガニック栽培をするのに使用を認めれていない化学合成農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術などを使用せずに、野菜や果物を栽培する必要があります。
オーガニック食品の栽培では、化学肥料や農薬の使用が「制限」されており、さらに遺伝子組み換え技術に対する「制限」もあります。
しかし、それが「オーガニック食品は完全に無農薬」ということにはなりません。
どうしてそうなるの?と思いますよね。その理由は…
JAS認証で使用を認められている農薬であれば、農薬を使用してもオーガニック認証をもらうことができる。そのことにあります。
オーガニック栽培で認められている農薬の中には、まだ新しく長期にわたり使用した場合の人体への影響がよくわかっていないものもあるといいます。
オーガニック≠無農薬だということ。その理由がおわかりいただけたでしょうか?
無農薬とは
つぎに無農薬についてお話ししましょう。
「無農薬」とは、栽培中に農薬を使用せずに栽培された作物を指します。
しかし、「無農薬」といっても、たとえ「土には農薬が残っているかどうか」とか「周りから農薬は飛んできていないかどうか」などの厳格な基準や定義がありません。
このことにより消費者に誤解を与える可能性があるので、現在「無農薬」と表示することは認められていません。
農薬を使用していない農産物に「農薬:栽培期間中不使用」と表示するなど、特別な栽培方法を正確に消費者に伝えることができる表示であれば認められています。
ちなみに、オーガニック食品は収穫前3年間以上「農薬」や「化学合成肥料」を使用していないことが条件の一つです。
日本と欧米〜オーガニックを選ぶ理由の違い〜
さて、オーガニック食品の栽培には、自然界のバランスを保ちながら、環境への負担を最小限に抑える方法が用いられます。
オーガニック食品の認証を受けるためには、「土壌の健康」を保ったり「生物多様性」を守るための厳しい基準をクリアする必要があります。
日本では、オーガニック食品を「自分や家族の健康のため」に選ぶ人が多いです。
しかし、カナダやアメリカに住んでいる人たちに「なぜオーガニック食品を選ぶのか」質問すると、健康のためと同じくらい「環境保護のため」という回答が返ってきます。
みなさんは、どう思いますか?
オーガニック食品の健康への3つのよいコト
オーガニック食品の健康への利点は多岐にわたります。ここでは、そのうちの3つを紹介します。
化学残留物が少ない
1つには、オーガニック食材には、不調や病気の原因となる可能性のある化学残留物が少ないです。
全ての農薬や化学肥料が体に悪いとは言えませんが、一部の農薬や化学肥料は不調や病気の原因となる可能性があることがわかっており、使用禁止になっているものもあります。
オーガニック食品の栽培には化学肥料や農薬の使用が制限されているので、オーガニックでない食品に比べて農薬や化学肥料に含まれる危険な化学物質が食品の中に染み込んでいたり、皮などの外側の部分に残っていることが少ないです。
そのため、長期的に摂取した場合、不調や病気のリスクを減らすことができるのではないかと考えられています。
栄養価が高い
ふたつめの理由は、栄養価です。
栽培される季節や方法にもよっても変わりますが、オーガニック食品はオーガニックでない食品よりも栄養価が高いと考えられています。
特にビタミンやミネラル、抗酸化物質が豊富に含まれています。
これらの栄養素は、免疫力の向上や生活習慣病の予防に役立つと言われています。
また、くだものは皮にも栄養がたっぷり含まれていますが、オーガニック栽培でない場合、皮に農薬が残っている可能性があるので、皮は捨ててしまいます。
農薬を使われずに栽培されたくだものなどは、栄養価の高い皮まで食べることができるので、皮からも多くの栄養素をとることができます。
美味しい
3つめは、味。
味も栽培される方法によりますが、消費や生産者の健康だけでなく、土やその土地に暮らす生態系のことを考えながら、心を込めて栽培された食品はやはり美味しいことが多いです。
水の国である日本ではあまり体験したことはありませんが、私は同じ食品でも栽培に使われる水の質によって味が変わることを身をもって感じています。
さらに、オーガニック食品は自然の風味を生かしているため、より美味しく感じることが多いです。
この点も、オーガニック食品が支持される理由の一つです。
いつもオーガニックは買えない…そんなときに知っておくといいコト2つ
私たちが口にするすべての食品をオーガニックにすることが理想です。
でも”予算”や”入手のしやすさ”などの理由から難しい場合もありますよね。
毎日の暮らしの中で、現実にはいつもオーガニック食品が手に入るわけではない。でも少しでも良い食品を選びたい…そんなときに知っておくと役立つ2つのことをシェアしたいと思います。
1.オーガニック「選びたい食品」と「でなくても良い食品」を知る
スーパーの野菜売り場に、新鮮なキャベツが2種類売られています。
ひとつは「オーガニック」。もう一種類は、オーガニックではなく従来栽培のもの。
このときに、あなたならどちらを選びますか?
食品の種類はさまざまにありますが、「オーガニックを選びたい食品」と「「オーガニックでなくても良い食品」があります。
オーガニックを積極的に選びたい食品は、栽培過程で農薬や化学肥料を多く使うため残留農薬のリスクが高い食品です。
特に皮ごと食べたり、薄い皮の食品は農薬の影響を受けやすいので、ぜひオーガニックを積極的に選びたいです。
必ずしもオーガニックでなくても良い食品は、その逆で、農薬の使用量が比較的少ない食品や皮を剥いて食べる食品です。
これらは農薬の影響を受けにくく、安全性が高いとされています。
このことを知っておくと、普段の買い物の時に賢く食品の選択ができるようになります。
積極的に「オーガニックを選びたい食品」と「オーガニックでなくても良い食品」の主なものは以下のとおりです。
このリストがなんとなく頭に入ってれば、普段食材を買うときの参考にきっとなるはずです。
オーガニックを選びたい食品
りんご
いちご
ほうれん草
ケール
ぶどう
桃
ピーマン
じゃがいも
とまと
オーガニックでなくても良い食品
アボカド
キウイ
とうもろこし
きゃべつ
アスパラガス
なす
たまねぎ
にんじん
グレープフルーツ
2.手軽な方法で農薬を落としてみる
もしあなたが手にした野菜や果物の残留農薬が気になる場合は、お酢や重曹を使った方法で農薬を洗い流すことができます。
食品をお酢や重曹を混ぜた水につけてから洗うと、食品の表面に付着した、農薬・細菌・カビなどを減らすことができます。
しかし、農薬・細菌・カビの種類によっては、この方法では落とせないものもあります。
また、食品の表面についている農薬には効果的ですが、中に染み込んでいる農薬を落とすことはできません。
ちなみに私の場合は、カビが生えやすく残留農薬の多いイチゴやブルーベリーなどの”ベリー類”を買ったら、次の2つの方法のどちらかを使って洗ってから冷蔵庫にしまっています。
こうすることでベリーの寿命を伸ばすこともできます。
とっても簡単なので、ぜひやってみてください!
お酢を使った方法
①大きなボウルに水とお酢を3:1の割合で入れます(例:600ミリリットルの水に200ミリリットルのお酢)。
②野菜や果物をボウルに入れ、5分程度浸けます。
③流水でよくすすぎます。
重曹を使った方法
①大きなボウルに水500を入れます。
②①に重曹を小さじ1杯加えます。
③野菜や果物をボウルに入れ、5分程度浸けます。
④流水でよくすすぎます。
まとめ〜ホリスティック栄養士からみなさんへ〜
オーガニック栽培の食品が必ずしもオーガニック栽培でない食品よりも体や環境に良いわけではない、と言うことを知っておいていだだきたいです。
オーガニック認証が無くても、消費者や生産に関わる全ての人たちの健康、同じ土地に住む動物や植物、環境のことを考えて食べ物を作っている農家もあります。
オーガニック認証があっても「オーガニックの方が高く売れるから」などの理由でオーガニック認証がとれるぎりぎりの方法で食品を作っている農家や会社もあります。
あなたにとって何が一番良いか、決めるのはあなた次第です。
どんな生き方をしたいか、どんな世界で生きたいか、今のあなたには何が一番あっているか。
このようなことを自分に問いかけて、食品を選択をしてみてください。
余裕のある時だけでも良いので、ラベルに書いてある文字や広告の謳い文句を見て食品を選ぶのではなく、あなた自身が信頼できる場所から集めた情報をもとに食品を選んでみてください。
食生活が私たちの健康に与える影響は大きいです。
オーガニック食品を上手に取り入れたり、農薬を落とす方法を実践しながら、健康的な生活を目指しましょう。
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カナダで大学卒業後、健康志向の高い都市バンクーバーに移住したことで栄養や体の仕組みに興味を持ち、栄養学とピラティスを学びました。その後、栄養学校で身につけた知識を使い体質改善に成功し、幼少期から付き合ってきた数々の不調を改善することに成功しました。現在は、ホリスティック栄養士として、企業向けに栄養関係のコンテンツ作成、ナチュラル食品•製品の開発やマーケティングのアドバイスなどをしています。地球にも人にも優しいナチュラル製品が大好きで、美容家の間で噂のエイジングケアオイル、抗酸化作用がたっぷりの「カカイオイル」を販売しています。