薬剤師が伝える女性のための“ハーブ療法”セルフケアガイド

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薬剤師/ハーバルライフコーディネーター

みうらわか

最近ふとしたことでイライラする、些細なことですぐ落ち込む、あるいは今までに経験したことのない体の不調を感じる・・・。

もしあなたが、その様な症状に覚えがあり、特定の年代に差し掛かっているなら、女性特有のホルモンの変化が関係しているのかもしれません。

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40代を迎える女性なら、一度は耳にしたことがある“更年期”や“ゆらぎ世代”という言葉。

今回は、そんな”ゆらぎ期”を少しでも穏やかに過ごすために、薬剤師の視点からハーブを使ったセルフケアとその注意点についてご紹介します。




そもそも更年期・ゆらぎ世代とは?まずは卵巣に感謝!


初潮を迎えたあの日、お赤飯でお祝いしてもらったことを覚えていますか?嬉しさと少しの恥ずかしさが混ざり、女性としての一歩を踏み出した喜びを感じた方も多いかもしれません。でも、その後毎月訪れる生理が時には辛く感じたり、まだ来てほしくない!と願ったり、逆に待ちわびたり…(笑)。そんな悩みや葛藤がある中で、女性の人生は生理と共にあると言っても過言ではないでしょう。

やがて、卵巣の機能は徐々に低下し、ついには女性ホルモンを生成できなくなります。これが「閉経」です。閉経の前後5年間を「更年期」と呼び、更に閉経前後の10年間ずつは「ゆらぎ世代」と呼ぶのだそうです。

ゆらぎ世代はなんと20年も続くの?と驚いたあなた、もちろん人の体には個体差はあります。ゆらぎ世代という言葉は医療用語でもないので個人的には過剰に気にする必要はないと私は思います。

でもこれまで子宮や卵巣に意識を向けていなかった人にとっては、これまでずっと働いてきてくれた卵巣に「ありがとう」と感謝しつつ、自分の体に改めて向き合うきっかけになる言葉かもしれません。(「更年期に効くという直接的な表現は医薬品以外には使えないので曖昧ゆらぎ世代という言葉を作ったと思われます。) 

ゆらぎ世代の不調の原因は? 必要なのは’’正しく恐れる’’こと 

ゆらぎ世代の不調といえば…
月経不順、気分のむら、不眠、ホットフラッシュ、抜け毛… 肌の不調(しみやしわ)、頻尿や尿漏れ、性欲の変化、関節痛…と、ざっと挙げるだけでもこんなに多くの症状があります。これを見て「大変な時期だな…」と不安に思うかもしれません。でも安心してください、「正しく恐れる」という言葉がある通り、自分の体を知って自分に必要な対処法を知れば不安に悩まされず、毎日を生き生きと過ごせる様になります。

さて、以前お話ししたように、脳の視床下部は下垂体を通じて卵巣にホルモンの指示を出します。しかし、ゆらぎ世代に入ると卵巣の機能が徐々に低下し、十分な女性ホルモンを分泌することが難しくなってきます。

ところが、遠く離れた脳の視床下部はその変化に気づかず「えっ?まだ女性ホルモンが足りない?もう少し頑張らなくちゃ!」と、さらにホルモンを分泌しようとするのです。

この視床下部は、実はホルモンだけでなく、自律神経の働きもコントロールしています。そのため、ホルモンバランスが崩れると、不眠やめまい、体温調整の乱れ、気分の浮き沈みなどの症状が出てしまいます。今悩まされている症状がどんな状態なのか自分で把握することがセルフケアの第一歩です。

ちなみに、思春期のころも、卵巣がまだ完全に機能していないために、自律神経に関連する不調が現れることがあります。ゆらぎ世代と似たような症状が思春期にも見られるのは、そのためです。どの世代にとっても自律神経を整える方法は知っておいて損はないですね。

セルフケアが大切な理由「自分を大事にしよう!」

女性は、自分を後回しにしがち…
多くの女性は、家事や仕事、家族の世話をこなす中で、自分の健康を犠牲にしがちです。薬剤師としての調剤薬局での経験でも、「これくらいなら大丈夫」と我慢し、自分を後回しにしている女性を多く見てきました。

でも、どんな物事でも、無理をしすぎてバランスを崩すと、不調を引き起こす原因になります。だからこそ、自分自身のエネルギーを満たし、心をケアする方法を知っておくことは、 とても大切です。

私の場合、その力強い味方が「ハーブ療法」です。ハーブは私の心と体の両方を満たしてくれるだけでなく、生活の助けになるものです。まさに私にとっての大切な健康のパートナーです。セルフケアの基本は、身体・精神・感情・社会的な面でのケアのバランスです。

これらの多くの側面をサポートしてくれるのがハーブ療法。しかも、取り入れやすく、簡単な方法ばかりです。これから、そんなハーブ療法をいくつかご紹介します。

「ハーブ療法」と「自然療法」の活用

自然療法を効果的に取り入れるためには、基本的な土台がとても重要です。 まずは、しっかりとバランスの取れた食事から必要な栄養を摂ること、無理のない範囲でしっかりとした運動を行うこと、そして心のケアも怠らずに、メンタルを整えることが大切です。ご紹介するハーブも予防として取り入れる事を前提にしています

今回は主にハーブティとして更年期の女性に役立つものをご紹介します。

《セージ》

セージに含まれる精油成分には女性ホルモン様作用があり、更年期に起きるホットフラッシュ・多汗の改善に有効と言われています。ハーブティとして飲むのは少し好みが分かれると思うので後にご紹介するカモミールなどとブレンドするか、お好みのオイルに漬けてお肉料理に使うなどすると無理なく服用できます。

《ブラックコホシュ》

ブラックコホシュは、PMS(月経前症候群)にも効果が期待できるハーブです。 欧米では、更年期のホルモン補充療法の代替手段として広く使われています。発汗抑制、自律神経の調整、そして気分の落ち込みや不眠の症状がある方にお勧めです。

《大豆》

大豆は日本人にとって非常に身近な食材であり、女性ホルモンに似た作用を持つ「ダイズイソフラボン」が、更年期障害の予防に役立つことでよく知られています。ただその効果は腸内細菌の働きに大きく左右されます。そのため、味噌や納豆などの発酵食品として摂ることを特におすすめします。 発酵食品なら、体が吸収しやすい形で有効成分を摂取することができます。

《ラズベリーリーフ》

‘安産のためのお茶’として知られるハーブですが、更年期に伴う生理の不調にもオススメです。ラズベリーリーフには子宮や骨盤まわりの筋肉を緩める作用があるといわれており、比較的飲みやすいハーブなので取り入れやすいハーブといえます。

《カモミール_セントジョーンズワート》

カモミールをはじめとするリラックス効果が期待できるハーブは、更年期だけとは言わずイライラや不眠に悩む方に特に試していただきたいハーブです。 カモミールは比較的手に入りやすく、飲みやすい味わいで、多くの人に愛されているハーブではないでしょうか。一方、セントジョーンズワートもそのリラックス効果で私も眠れない時に飲むことがあります。ですが、お薬を服用されている方は飲み合わせに注意が必要な場合がありますのでご心配な方はご近所の薬剤師にお気軽に聞いてみてくださいね。

今回ご紹介するハーブは、日本では「食品」として扱われているため、効能や効果については法的に制限されています。ですが、私自信もそうであるように日々の生活に取り入れることで、リラックスや心地よさを感じていただけると思います。皆さんもセルフケアの一環として、無理のない範囲で楽しんでいただければと思います。」

さいごに〜女性は定期的な婦人科受診を

今回ご紹介したハーブは、食品として料理に使ったり、ハーブティーとして楽しんだりすることができるだけでなく、サプリメントとしても探すことができます。

でも手軽だからと言ってサプリメントで気軽に取りすぎない様に注意してくださいね。適量を守って、バランスの良い食事を摂った上でのセルフケアを心がけましょう。

セルフケアとは、まず自分の体の状態を理解することから始めます。 女性は体調に不調がなくても、一度は婦人科を受講してみることをお勧めします。

そして不調が続く場合には婦人科の診察やホルモン療法が助けになる場合もあります。 最も大切なのは、不調を取り除き、毎日の生活の質(QOL)を向上させることです。我慢と後回しは禁物です!

私たちの体は心と繋がっているだけでなくこの世界や宇宙とも関係があります。そして植物という命もこの世界を構成するひとつの要素です。自然療法の考え方として‘’植物の力を始め様々な方法で自分自身の体を癒すこと‘は’この世界を癒すこと‘があります。

一番大事なのは自分の体の変化に気づいて自分で選んで自分を癒すこと、それが周りの幸せにもつながるのです。これを読んでいる皆さんが自由でおおらかに、健やかな毎日を過ごせる様に祈っています。

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