この記事を書いた人
エンパワメントコーチ
石橋 明子
デンマークはすっかり冬になり、日照時間が一番短い時期にさしかかっています。
電車でも鼻をすすっている人、盛大に咳き込んでいる人がちらほら。
そんな人たちを視界の片隅で眺めながら、「今年は健康のために、デンマーク人みたいに寒中水泳でも習慣にしようかな。でも上がった後が寒いんだよな…。」
なんて考えた後にベイエリアを歩いていたところ、海辺の遊泳区域に佇むおしゃれなサウナチューブを発見!
おしゃれそうな男女(水着だから本当のところは分からない、笑)が集う様子を見て、ぐぐっと興味をそそられました。
日本から視察などにいらっしゃる方をご案内していると、「北欧といえばサウナ」というイメージを持っている方も多いのですが、実はデンマークではサウナはあまり使われていません。
サウナの本場はフィンランド。
古くはヴァイキングの時代から、川縁などに建てた小屋の中で、熱くした石に水をかけて蒸気浴をしたという歴史があるそうです。
フィンランドといえば、世界幸福度ランキングでデンマークを抜き、1位をキープしている国。
果たして、サウナと幸福度には関係があるのでしょうか。
気になります!
「サウナー」と「サ活」
さて皆さん、「サウナー」という言葉をご存知ですか?
海外暮らしで日本のトレンドに疎くなった私は、お恥ずかしながら最近ようやく知りました。
「サウナー」とは「サウナ愛好家」のこと。
「サ活」とは「サウナと水風呂を交互に繰り返す交代浴のこと」だそうです。
なんでも活動にして名前を考え出してしまう日本人ってすごい…と感心しつつ、理屈っぽい私は、サウナがなぜ体にいいのかを科学的に知りたいと思い、早速リサーチしてみました。
すると、体だけでなく心にもいい健康効果があることが様々な論文で検証されていたのです。
ちなみに、医学的な研究はフィンランド式サウナ、つまり高温サウナと冷水など寒冷刺激のサイクルを繰り返すものについてが主でしたので、この記事ではそのことについて書いています。
では、どんないいことがあるのか、早速見ていきましょう!
サウナの健康効果
1. 免疫力が上がる
定期的にサウナに入ることにより、白血球の免疫活動を活性化することができるので、風邪などの感染症に対する免疫力が高まります。
風邪をひくと始めに熱が出ますよね。これは、体内に入ってきたばい菌などが増殖しにくくするためと、体を菌などから守る免疫細胞を活性化するためです。
サウナのように人工的な熱によって体温を上げることでも、同じように白血球を活性化することができます。
急激に体温が変わることによって、ヒートショックプロテイン(HSP)という、細胞のダメージを修復したり、ストレス耐性を上げる物質が作られます。
これによって免疫系が強化され、感染症やその他の病気に対する抵抗力が高まるとされています。
特に、温熱と冷却を交互に行う「交代浴」つまり「サ活」は、HSPの生成を促進します。
サウナから出て雪原にダイブする伝統的なフィンランド式サウナは、とても理にかなっているということですね。
2. 循環器系や呼吸器系の改善
サウナに入ると心拍数が上がり、血流が促進されます。
そのため、心臓の負担が軽減し、心血管系の健康を改善することが期待できます。
定期的にサウナに入ると心臓の健康によく、長生きする可能性があるという研究が発表されたのは2015年。
フィンランドで行われたこの追跡調査によると、サウナに通う回数が多い人ほど、心疾患のリスクが低く、一般的な死亡率も低いことが分かっています。
週5〜7日利用した人たちは、そうでない人に比べて、心臓発作や脳梗塞で亡くなる率が低かったとのこと。
これは、交代浴を繰り返すことにより
①血流が改善する
②血管内皮機能が上がる
③酸化ストレスや炎症の軽減
④自律神経系の正常な調整
⑤コレステロールや中性脂肪の改善
などの効果が得られるためと考えられています。
また、温かい空気と湿度によって呼吸器系の通りが良くなり、特に慢性的な呼吸器疾患の緩和にも役立つとされています。
他にも、リウマチや関節炎、慢性的な疲労、風邪症状、頭痛、筋肉痛、乾癬、ストレスなどによい効果があるそうです。アルツハイマーなど認知症の改善にも効果的だとか。
メンタル面でも、鬱や気分の浮き沈みが落ち着くという研究結果もありました。
集中力が上がる、作業能率が上がるといったメリットも。
これは、急激な体温の変化に対応するためにホルモンが分泌されることと、サウナの環境が神経をリラックスさせると同時に感覚を鋭くするからです。
すごい効果が沢山あるサウナ。
これだけでも、コペンハーゲンの海辺で見たおしゃれなサウナに早速入りたくなってきましたが、さらには嬉しい美容効果も発見しました。
美容効果
1. 肌の保湿とデトックス
サウナに入ることにより、汗とともに老廃物が排出され、肌のトーンが明るくなり、保湿効果も期待できます。
また、血行が促進されることで肌の新陳代謝が高まり、弾力が増すとされています。
2. アンチエイジング効果
免疫効果のところでもご紹介した「ヒートショックプロテイン」が生成され、これが細胞の修復や抗酸化作用を促進し、アンチエイジング効果が期待できると言われています。
体にも心にもよくて、さらに美容効果もあるなんて!
冬のコンディション維持にサウナを活用しない手はないですね。
フィンランドが「最も幸福度の高い国」の座に留まり続けているのは、サウナのおかげに違いないという気分になってきました。
というのは冗談半分ですが、交代浴を繰り返すことで「ととのう」という、爽快でなんとも言えない恍惚とした状態を味わうこともできるというのは、私も経験した本当の話です。
「ととのう」とは?
「ととのう」は、サウナ用語で「サウナと冷水浴による温冷刺激のサイクルを数回繰り返した後に、体が軽くなって頭がすっきりし、恍惚感を感じる状態」のことを指すそうです。
つまり、一種のトランス状態みたいなものですね。
WTG読者の皆さまなら、ヨガや瞑想をしているうちに雑念がなくなって思考がクリアになったり、インスピレーションが湧いてきたという経験をしている方も多いのではないでしょうか。
それと同じような状態がサウナと冷水の交代浴、つまり「サ活」によって作り出せるということです。
温冷刺激を繰り返すことで、交感神経と副交感神経が交互に刺激され、「自律神経のリセット」が起こります。そのため、リラックス効果が得られます。
また、エンドルフィンやセロトニンといった幸せホルモンが分泌されることで、思考がクリアになり、脳がリセットされたような感覚になるのです。
思えば私が温冷浴にハマったのも、このなんとも言えない爽快感と幸せ感が始まりでした。
「ととのう」体験 in デンマーク
数年前に友人とおしゃれなスパに行った時のこと。
入り口に「本日はHavgusを開催します。参加は無料、人数限定です」と案内がありました。
それが何か分からないまま、「せっかくだし」と申し込んでみたのですが、集合場所に足を運んでみてびっくり。
なんと浜辺のサウナと極寒の海に飛び込むサイクルを繰り返すトリートメントだというではないですか。
「ええっ、こんなところで修行ですか!?」とドン引きしたものの、時すでに遅し。
せっかく申し込んだし…と、参加することにしました。
風吹きすさぶビーチで体を流し、汗を拭いてサウナ室内へ。
デンマークの冬で凍えた体で入るサウナの心地よさ。
アロマオイルの混じった蒸気を肺いっぱいに吸い込み、うっとりリラックスしたのは、ほんの一瞬。
じわじわと次第に高まっていく体温。
「うう、暑い…」次第に汗がにじみ出てきて、「もう出たい〜!」
と思ったところでサウナタイムは終了。
「さあ、海に飛び込んでください!」という係のお兄さんの声。
わらわらとサウナから出て、目の前の海に「えいやっ」と飛び込む心地よさ……
を味わったのは、ほんの束の間。
今度は心臓が凍るかのような海の冷たさに襲われ、体が痺れかけたところで、
「サウナに戻ってください!」
お兄さんの掛け声を合図に、熱いサウナに駆け込みます。
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」
とほぐれる感覚はやみつきもの。
始めは「暑いー!」「寒いー!」と反応していたものの、途中からは無の境地。
ハムレットのお城が見えるスパという素敵なロケーションだったにも関わらず、何も目に入らず(笑)
ひたすら「その瞬間」に集中して数サイクルを乗り切ることができました。
一連の修行が終わった時の、リラックスして体も心もクリアになった、なんとも言えない快感は今でも忘れられません。
あれがサウナで「ととのう」経験だったんですね。
蛇足ですが、英語の文献を調べていたら、なんと日本人による研究の中に’Totonou’としてコンセプトが紹介されていました。
’Ikigai’(生きがい)’Shinrinyoku’(森林浴)に続いて’Totonou’が世界で流行る日も近いかも!?
さて、ととのう感覚がすっかり病みつきになった私はそれ以来、近場のプールにあるサウナを愛用しています。
海に飛び込めないのは残念ですが、冷たいプールとサウナでもととのう感は十分に味わえます。
サウナに入らない方がいい状態
健康効果に美容効果、リラックス効果といいことづくめのサウナですが、もちろん気をつけるべきこともあります。
まず、風邪などの症状が強く出ている急性期には入らないこと。
体にいいからといって無理して入るのは禁物です。
同じ理由から、心臓病や高血圧など持病がある人は、医師に相談してから「サ活」を始めて下さい。
高温のサウナでなくても、じっくり汗をかくことで健康効果がある低温のサウナや岩盤浴などもありますので、体の状態に合ったものを選びましょう。
また、注意事項として
- 食後1時間以内には入らない
- アルコールが入った状態でサウナに入らない
というのも安全にサウナを楽しむために大切です。
さあ、ここまで読んできたあなたは「私もサウナに入りたい!ととのいたい!」とウズウズしていることでしょう。
そこでここからは、サウナのお作法について解説します。
サウナのお作法
健康効果をより引き出し、安全にサ活を楽しむために、サウナのお作法もあります。
その1 しっかり水分補給
サウナでは沢山汗をかきます。
脱水予防のために、たっぷりの水分をあらかじめ補給しておきましょう。
喉が乾いたと思った時には、すでに脱水が始まっています。
「まだ喉が乾いていないなぁ」と思っても、サウナに入る前にはコップ一杯程度は水を飲んでおきます。
その2 髪と身体を洗い、水気を拭きとる
エチケットとしてはもちろん、サウナの発汗効果を高めるためにも身体をきれいにして毛穴のつまりを取っておきましょう。
デンマークで初めてサウナに入った際に
「これから汗をかくのに、なんでみんな丁寧に体を拭くんだろう?」
と思っていたのですが、やってみて分かりました。
濡れた状態でサウナに入ると、水が急激にあっつくなるのです。
皮膚が濡れた状態で入ると体の表面が一気に熱くなってしまい、深部体温が上がる前に辛くなってしまいます。
ですから、身体を洗った後は水分をしっかり拭き取り、それからサウナに入りましょう。
美容も大切にしたい女性としては、濡れた髪が傷まないようにタオルで髪を包むというのもポイントですね。
濡れたタオルを使うことで、頭がのぼせることを防いでくれる効果もあります。
ちなみに私がサウナに行く時には、タオルを3枚用意しています。
体の水分を拭く用、サウナ室で座るところに敷く用、髪に巻く用です。
その3 サウナ滞在は5分から10分程度
高温に慣れていない人がいきなり長い時間サウナに入るのは危険です。
最初は5分から始めて体を慣らし、徐々に時間を伸ばしていきます。
健康効果の得やすい目安は10〜12分のようです。
それ以上入っても大丈夫ですが、長くても20分までにしましょう。
(フィンランドの研究では20分となっていましたが、それはプロ級のサウナー向けかと思われます。)
お尻の火傷予防とエチケットとして、タオルなど敷物をひいて、その上に座ることをお忘れなく。
また、サウナ室内の高いところは高温になるので、慣れないうちは下の方に座ることをおすすめします。
その4 汗を流して水風呂へ
北欧のように海や雪に飛び込むのであれば、温まったらそのまま外へGO!ですが、日本では室内の水風呂に入るのが一般的だと思います。
サウナでかいた汗を流してきれいにしてから、(意を決して)水風呂へ。
水風呂が嫌な人は、水シャワーでもOK(10〜15°Cが目安)。
個人的には、ちょろちょろ冷たい水をかけていくのは苦痛なので、思い切ってドボン!としてしまう方が好きですが、ま、そのあたりはお好みでどうぞ。
全身浸からない部分浴でも効果はあるようなので、苦手な人は、肘下、膝下など体の一部分から始めてみるのもいいと思います。
水風呂には1〜2分滞在するのが効果的です。30秒でも効果的という研究もあるので、慣れないうちは30秒でも十分でしょう。
熱い温泉の中ではじっとしている方が熱くないのと同じで、水風呂でも動き回るとヒヤヒヤして辛さが増す気がします。(だから海だとよりつらいのでしょうかね。)
水風呂が苦手な人は、浴槽の中でじっとしていると耐えやすいかもしれません。
初めは「とても無理!」と思っていても、水風呂から上がって心身ともにシャキッとする感覚を味わうと、意外と病みつきになりますよ。
その5 休憩して「ととのう」感覚を味わう
サウナと水風呂の交代浴を3サイクルほど繰り返したら、お待ちかねの外気浴タイム。
「外気浴」となっていますが、室内でももちろんOKです。
室内着などをまとって、心地よい温度の場所に置かれた椅子にゆったり座ってリラックス。
横になるスペースがあれば、寝そべったりしてもいいですね
じわじわと湧き上がってくる爽快感と頭がスッキリする感覚を存分に楽しみましょう。
インスピレーションが湧いてくるかもしれません。
まとめ
サウナには免疫を上げる効果や心肺機能の改善など様々な健康効果があります。
美容にも心にもよい効果が沢山あることが分かりました。
サウナそのものの効果はもちろんですが、サウナという非日常的な空間で、PCやスマホから完全に離れ、タオル一枚・身一つで自分と向き合い呼吸する時間は、まさにデジタルデトックス。
現代では何よりも得がたい贅沢なのかもしれないなぁ、なんて思いました。
仲間と一緒にサウナに入れば、シンプルな室内で余計なものに気を取られることなく、ゆっくり話しをする貴重な時間にもなります。
そんなところも、デンマークで大事にされているHygge(ヒュッゲ)のコンセプトに馴染むので、ブームになりつつあるのでしょう。
私も近いうちに友人を誘って、海辺のスパを再訪しようと思います。
よかったら、あなたもご一緒にいかがですか?
デンマークでお待ちしています。
「いや、デンマークは遠いよ…」というあなたは、気の合う仲間と誘い合ってお近くでサ活に出かけ、免疫力も精神的なレジリエンスも上げる時間をぜひ定期的に作ってみてくださいね。
この記事が、あなたが心身ともに健康に、前向きに冬を過ごすお役に立てば幸いです。
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