この記事を書いた人
ライフコーチ&ヒプノセラピスト Akiko
この春、デンマーク生活7年目を迎えました。人生で起こることには意味があるのならば、私がこの国にやってきたのは、自分らしく生きることで、他の人も大切にして社会の調和を保つことができる、そんな考え方を学ぶためだったような気がしています。
幸せの国デンマーク
北欧の小国デンマークは、世界幸福度ランキングで長年1位の座を守ってきましたが、2019年からその座をフィンランドに明け渡し、2位に転落しました。それでも、最近は日本でもHygge(ヒュッゲ)という言葉を知っている人も増えてきて、幸せな国デンマークへの関心が引き続き高いことが窺えます。
ちなみに、’Hygge’というのは、外国語に訳すのが難しい言葉とされています。
「穏やかで心安らぐ時間(を過ごすこと)」が私の解釈ですが、周りのデンマーク人には、「いやぁ、それじゃ何かが足りないんだよね。」と言われます。何が足りないんだろう…。私がそれを理解するには、もう少し時間がかかるのかもしれません。
Hyggeについては英語で本も出ています。デンマークに興味のある人にはお勧めです。
さて、国連が毎年発表している
この幸福度ランキングは、G D Pや国民の自己採点による生活の満足度、健康寿命など総合的に見て、「幸福度」として評価しているものです。2021年はデンマークは2位、対して日本は54位となっています。
(出典:https://worldhappiness.report/ed/2022/)
【幸せな人が多い国】幸せな国ランキング5位のカナダと46位の日本の違い。
デンマークが幸福度2位に転落した年、若干のどよめきはあったものの、国民の反応は至ってクールでした。「あら。そうなんだ」くらい。Cocioという国民的飲み物の広告に「デンマークをもう一度、世界一幸せにしよう」という、やや自虐的なキャッチコピーが現れた程度で、国全体は1位奪還を目指そうというより、高い幸福度の中にも存在する社会問題の解決に力を注いでいます。
そう、デンマーク人は、見た目よりも本質を求める、とても実際的な考え方をする人たちでもあります。
ちなみに一位になったフィンランド人を風刺しているCocioの広告はこちら
日本とデンマークの似ているところ
移住してきたばかりの頃、私はよくデンマークと日本は似たところが多くあると思っていました。
デンマーク人は穏やかな人が多く、感情を明らかに見せる人はあまりいません。道を歩いている知らない人と目が合った時に、微笑みを交わす割合は50%くらい。これまでに暮らしたアフリカや東南アジアの国々に比べると低いけれど、日本よりは高い割合です(私調べ、笑)。
冬はどんより曇り空が続くので、みんな自分の世界に籠って暗めキャラになるのですが、夏に会うと太陽の下で延々とおしゃべりしたり、まるで別の国にいるかのようです。うちのデンマーク人の夫は、「北欧で言えば一番南だから、北欧のラテン系だよね」と謎の説明をしていますが、他の北欧の国に住んだことがないので、実際にどうかは分かりません。
でも確かに、アルコール規制などに関しても、国の取り締まりよりも自主性を重んじる考え方は、個人主義でラテン系的と言えるかもしれません。
そんな国で、私がどうして日本と似ていると思ったかというと、デンマーク人が社会の調和や場の雰囲気といったものを大切にしていると感じたからです。
自分のやりたいことやニーズよりも皆のため、全体のためを考えて動く人が多いと感じたのです。公共の場、例えば電車の中などでのルールやマナーはきちんと守る人が多いですし、守っていない人がいれば注意することもあります。人の話をきちんと聞くという姿勢も、日本に似ていると感じたところです。
デンマークの職場は上下関係もゆるくてカジュアルです。でも密かにしっかり上下関係はあります。
社会全体に流れる調和を大切にする空気。それなのに、自分らしく生きることを実現し、幸せの国であり続けられる。つまり、苦しくなく自分らしさを追求できるのはどうしてなのだろう?漠然とそう考えていました。
日本と似ているのに、かたや一方は幸福度ランキング2位、そして一方は54位という差はどうしてなのでしょうか?
それは裏を返せば、日本で暮らしていた私が、社会や周りとの調和を保つ中で息苦しさを感じていたということなのかもしれません。
日本では、道端で親が子どもに注意するときに、よく「周りの人の迷惑になるでしょ」と言うことばを聞く人が多いのではないでしょうか?
ところがデンマークでは、「自分を大切にする=調和が取れる」という逆の考え方
なのです。
自分を大切にできない人が、どうやって他人を大切にできるの?
この国に暮らして1年くらい経った頃、日本から教育関係の視察にいらした方に通訳として同行する機会をいただきました。そしてその時に、私の疑問への答えがわかりました。
視察中、園長先生が「子どもの自主性を大切にするので、他の遊びに混ざりたくない子がいれば、大人が側で見守って、その子がしたいことが終わるまで付き合う」という説明をされた時のこと。日本の方が、「いつも自分のしたいようにしていたら、子どもはどうやって協調性を身につけるのですか?」と質問しました。
これは正に、当時2歳の息子を育てていた私が、心の中で思っていたことでした。園長先生は、ちょっと目を細めて私たちを見やり、逆に問いかけました。
「自分の意思を大切にできない、されたことのない人が、どうやって他人を大切にできるのですか?」
そして、自分の気持ちが十分に満たされると、子どもたちは皆と一緒にいることを喜ぶものですとおっしゃいました。
この問いかけに、当時の私ははっとしました。そうか!と。自分にとって大切なことを知り、それを尊重することができるからこそ、他の人の価値観の大切さが分かり、他の人を自分と同じくらい大切なものとして扱うことができる。そして、それぞれの人が自分のままでよいという安心感を持つことが、全体に対する信頼感を高め、協調性につながる。そのような考え方が園長先生の説明から伝わってきましたし、これがデンマーク人が自分らしく生きることを妥協せず、他の人が同じようにその人らしく生きることを受け入れる懐の広さを持っている理由なのだと思いました。
デンマークは家族中心の社会でもあります
子どもの頃からこのような価値観の中で育ち、満たされた人が共存しているからこそ調和が生まれ、デンマークが幸せの国として存在していることを深く納得したのでした。
自分が我慢して誰かのために頑張るのではなく、自分のニーズを満たした先に、他の人の幸せもある。
そんな肩の力の抜けた考え方が、デンマークの平等で満ち足りた雰囲気を生み出し、幸せの国として存在しているような気がします。
その後、デンマークの会社で働き、友人も増えて、自分を優先するデンマーク人の様子がもっとよく分かるようになって行ったのですが、その話はまたの機会に。
お読みいただき、ありがとうございました。どなたかのご参考になれば幸いです。
Hav en rigtig god dag!(どうぞ素晴らしい一日を!)
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