この記事を書いた人
ヨガ・アーユルヴェーダ講師/サウンドセラピスト
永田舞美
”アーユルヴェーダ”という言葉を聞いたことがありますか?
最近、日本でもアーユルヴェーダが注目を集めていますが、「日本人には合わないのでは?」という声もあります。
実は、私が初めてアーユルヴェーダを知ったとき、「カタカナばっかり」「宗教っぽい」「怪しい」 と思ったのが、正直な第一印象です。
スパイスにも馴染みがなく、日本人の私には関係がないものだと思っていました。
そんな私が、長年悩んでいた冷え性や貧血、ひどい生理痛のトラブルが改善され、イライラしやすかったり、他人と比較して落ち込みやすく、感情の波が激しかった心が、穏やかに変わってきたのは、アーユルヴェーダの恩恵です。
さらに、生きづらさを感じていた会社員から、個人事業主へと転身し、好きなことを仕事にして、毎日を楽しく健康的に今を過ごせているのも、間違いなくアーユルヴェーダが生活に馴染んでいるからだと感じます。
今回は、アーユルヴェーダとはについてお話をし、これから迎える秋に取り入れたいセルフケア3選をご紹介していきます。
アーユルヴェーダとは?
サンスクリット語で「アーユス(生命)」「ヴェーダ(科学)」と訳され、5000年以上の歴史を持つインドやスリランカが発祥の世界三大医学の一つです。
日本では、マッサージやエステなどの美容法のイメージが強いかもしれませんが、WHOからも認められている医学です。
医学と聞くと、私たちには西洋医学が馴染み深いかもしれません。
西洋医学が、病気や不調の症状にアプローチをする医学なのに対して、アーユルヴェーダは「個人の体質」を重要視し、日々のライフスタイルを通して病気を治す治療だけでなく、病気になりにくい身体と心を育てる「予防医学」なのです。
個性を大切にしていることから、”健康にはこれがいい” ということであっても、必ずしも自分に合っているとは限りません。
それは、アーユルヴェーダのセルフケアであっても同じことで、どんなときでも、そのときの自分の状態に合わせて、知恵を取り入れていきます。
そもそも健康とは?
WHOでは「健康とは、肉体的・精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病気が存在しないことではない。」と定めています。
これは、古くからアーユルヴェーダが定義している健康と同じです。
身体と心の健康はもちろん、魂も健康で、自分のやりたいことが自由にできる体力や、活力、それに伴う経済力や自由があることを、アーユルヴェーダでは健康で幸福な人生と定めています。
一人一人が違って当たり前!?
アーユルヴェーダでは、ドーシャという体質論があります。
一人一人が、生まれながらに個性を持っていて、身体も心も違って当たり前という考え方です。
私たちは、お顔も違えば体格や性格も違います。
これはごく自然なはずなのに、人と比べて過ごしていたりはしないでしょうか。
ドーシャを理解していくと、一人として同じ人間はいないことが分かり、人と比べることもなくなります。
自分への理解、他人への理解、社会への理解が深まり、心地よく自分らしく過ごしていくヒントになるのです。
ドーシャを理解しよう
ドーシャには、「ヴァータ」「ピッタ」「カファ」の3つのタイプがあると考えます。
一人一人が、3つ全てを持っていて、人によって優勢なドーシャのバランスが異なり、それが個性となります。
ドーシャのバランスが整っていると、身体や心の調子が良く、個性を最大限に生かしながら過ごしていくことができます。
一方で、アンバランスな状態となると、乱れたドーシャの影響を受け、様々な病気や心の不調を招くとされています。
身体も心も健康で過ごしていくために、ドーシャのバランスに寄り添って過ごしていくことが大切です。
【ドーシャの3つの特徴】
ヴァータ
・・・風と空の要素。「動き」の力を持ち、不規則になりやすいことが特徴。
【身体】痩せ型、背は高いか低いかの極端、末端冷え性、乾燥肌、生理不順、便秘、不眠、食欲の乱れ
【こころ】好奇心旺盛、フレンドリー、クリエイティビティ、行動力、お話好き、優柔不断、不安、落ち着きがない
ピッタ
・・・火と水の要素。「燃やす」力を持ち、変換。
【身体】中肉中背でバランスがいい、筋肉質で柔らかい、代謝が良い、オイリー肌、月経過多、若白髪、肌トラブル、空腹が耐えられない
【こころ】情報処理能力が高い、目標達成意欲、リーダー気質、責任感、無理しやすい、イライラ、負けず嫌い、口調が鋭い
カファ
・・・水と土の要素。「吸着」する力を持ち、安定を与える。
【身体】がっしりと骨太、色白、日焼けをすると赤くなる、脂肪がつきやすい、目が大きい、むくみ、鼻炎
【こころ】マイペースでおっとり、愛情深い、平和主義、忍耐、我慢、溜め込みがち、執着、無気力
奥手でシャイ、頑固
人間だけじゃない。自然も3つのタイプから成り立っている
ドーシャは私たち人間だけではなく、時間や季節の流れの中にも存在していると言われています。
移りゆく自然の変化に合わせてドーシャが揺れ動き、私たちの身体や心もゆれ動いているのです。
ドーシャの動きに合わせて、日々の暮らしを選択していくのが、アーユルヴェーダ的な過ごし方!
四季がある日本だからこそ、ドーシャの特徴を活かして過ごしていくことで、その季節特有の不調をケアしていくことができます。
秋は行楽シーズン!アーユルヴェーダから紐解く”〇〇の秋”とは?
秋になると、日本では「〇〇の秋」という言葉をよく耳にします。
食事、運動、読書、芸術など、様々な楽しみがありますね!
あなたにとって、秋とはどんな季節ですか?
秋の行楽シーズンとも言われる季節となると、活動量が増えてくる人も多いのではないでしょうか。
活動量が高まるということは、アーユルヴェーダでは、「ヴァータが高まる」と言います。
「動き」の力を与えるヴァータだからこそですね!
今のあなたのバランスは?
セルフケアを取り入れる前に重要なことは、今の自分はどんな状態なのか、ということです。
つい頭で考え過ぎてしまう人が多いですが、自分の感覚を働かせて、心地よさや違和感を知り、”いい塩梅”を自分で知っておくことが大事です。
ヴァータが整っていると、目の前の変化に柔軟に対応ができ、上手に環境へ溶け込むことができます。
心は軽やかで明るく、新しいことへチャレンジができます。
アンバランスとなると、便秘や冷え、不眠の症状に悩まされ、不安やソワソワなど落ち着きの無さを感じます。寒くなると人肌が恋しく寂しくなったり、夕焼けを見てセンチメンタルな気持ちになったりするのは、ヴァータの影響です。
身体とこころをととのえるケア【3選】
秋を楽しく心地よく過ごしていくために、日常での過ごし方、3つのケアをご紹介します。
①食事
ヴァータのバランスを整えるために、「温かく」「水分と油分を含み」「甘い食材」を意識していきましょう。
秋の旬な食材は、甘味がある食材(芋、栗、かぼちゃなど)が多く、秋刀魚なども脂が乗って美味しい季節です。
果物はぶどうや梨が旬ですね。
消化力も不安定になりやすいため、消化にいい食事も大事です。
スープやお鍋もおすすめです。
②規則正しい生活
起きる時間、寝る時間、食事をする時間をなるべく一定にします。
現代では、生活が便利になった分、不規則になりがちです。
体内では自律神経が働き私たちを支えているため、体内時計を整えることで、ヴァータが整っていきます。
「6時に起き、23時までには寝る」これを目安に、あなたができる範囲で意識してみてください。
③オイルケア
アーユルヴェーダと聞くとオイルケアをイメージされる方も多いでしょうか。
秋の季節はセサミオイルがおすすめです。オイルケアは、実は自宅でも行うことができます。
スーパーに売っている太白ごま油でOKです!一度100度まで加熱処理をし(キュアリング)、冷めたものを保存瓶に入れて保管します。
お風呂に入る前に”頭・耳・足裏”の3点にオイルを塗り、湯船に浸かってじんわりと体内へ浸透していくのを感じましょう。
身体を温め、血流を促し、心も満たしてくれるケアです。
季節の移り変わりに合わせてお洋服を変えるように、私たちが食べるもの、肌につけるものも変えていくことは、自然の流れに調和していくということです。
その選択の積み重ねでバランスが保てるようになります。
さいごに
いかがでしたか?
アーユルヴェーダは、実は日本に住む私たちの暮らしにも馴染みがある智慧がさまざまあります。
四季がある日本では、自然界での変化を受けやすく、季節によって体調を崩す人も少なくありません。
自分自身へ意識を向ける習慣をつけていくと、感覚が研ぎ澄まされ、心地よさや違和感など、自分の中での変化をキャッチしながら過ごしていけるようになります。
まずは、この秋を意識的に過ごしてみてください。
ヨガ・アーユルヴェーダ講師/サウンドセラピスト
元金融営業職からアジア最大級のイベント『ヨガフェスタ2021』の出演を経て、講師として独立。
10代から月経に悩み、慢性不調も多い中でアーユルヴェーダに出会う。が好転していく。
スリランカの名医の産婦人科医師に教えを受け続け、女性特有の心身の変化に寄り添いながら「本来の自分をもっとし、個性を輝かせる」ことをテーマに、「私らしく生きていく道」をホリスティックにサポートしています。
朝ヨガ&アーユルヴェーダコミュニティ『OjasLife』の主宰、アーユルヴェーダ講座、全国でリトリートイベントを主催する他、企業ヨガ、ラジオパーソナリティ、ヨガジャーナルをはじめるライターとしても幅広く活動中。
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